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光設計賞
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光設計優秀賞 |
ミリ秒時間分解能X線CTのためのマルチビーム光学系の開発 |
受賞者 :矢代 航1、Wolfgang Voegeli2 |
所属 :東北大学1、東京学芸大学2 |
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授賞理由 |
結晶を曲げてX線を制御する新しいデバイス提案や、マルチビームを用いるという発想に特筆すべき高い独創性を有すると評価されました。動的3D観察が可能となるなど、本技術は幅広い分野への波及効果が期待される成果であり、光設計優秀賞を授与いたします。
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概要 |
病院のCT スキャナの撮影時間は、通常は数秒〜数10 秒のオーダーであるが、強力な放射光を用いると、ミリ秒オーダーの時間分解能で試料内部を三次元的に可視化できることが申請者らによって最近実証されている。しかしながら、多くの方向から試料を撮影するため、試料を非常に高速に回転しなければならず、流動性のある試料への適用や、様々な試料環境の導入が困難であるという問題があった。
本研究では、試料回転なしでミリ秒オーダーのX線CT の実現を可能にするマルチビーム光学系の開発に世界ではじめて成功した。X線CT に用いられている透過力の高いX線は、一般に物質との相互作用が小さいため、可視光の鏡による反射のように伝播方向を容易に制御できない。本研究では、特殊な形状の薄い単結晶シリコンを微細加工により作製し、双曲面上に湾曲させて、かつ三段に配置することにより、±70°の投影方向をカバーするマルチビーム光学系の開発に成功した。
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図1. 放射光マルチビーム光学系と概観
図2. (a)放射光マルチビーム光学系を用いて1 ミリ秒で撮影された投影像の例
(b)試料の三次元再構成像(試料:直径50 μmのタングステンワイヤー) |
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